〈原発〉について考えるためのブックリスト

「つなげよう脱原発の輪上越の会」作成(2014 年 3 月 2 日)


核技術が「人間の手に負えないもの」であることは 早くから開発当事者によって示されていました。そしてチェリノブイリ、フクシマの現実を踏まえれば、もはや核エネルギーによる発電は人類の未来を考えれば即刻やめなければなりません。ドイツを始め、フクシマ以後いち早くそれを決定した国々もあるというのに、フクシマの事故収束さえおぼつかない現状にあってもなお日本政府は再稼働を急ぎ、原発輸出すら目論むというありさまです。それはなぜなのでしょう?
その「なぜ」を考えるためには原発をとりまく「事実」を知ることが何よりもたいせつなのではないでしょうか。

ここには一人ひとりが「原発」に対してどのような立場を取ればいいのかを考えるためのヨスガとして、数ある「原発本」からいくつかを紹介します。

 

◇◆各種新書から◆◇

○田中三彦著『原発はなぜ危険か―元設計技師の証言―』

                   (岩波新書 1990 年1月)
 チェリノブイリ後も変わらぬ日本の原発推進政策。その状況に警告を発した、原子炉設計技師の告発

○樋口健二著『これが原発だカメラがとらえた被曝者』     

                                                 (岩波ジュニア新書 1991 年 7 月)
   長年にわたって原発を追い続けるフォトジャーナリストの著者が 原発を取り巻く現実を分かりやすく書き下ろした原発問題入書。著者の写真集『原発1973 年~1995 年』(三一書房 1996 年 7月)も必

○有馬哲夫著『原発・正力・CIA機密文書で読む昭和裏面史』

                  (新潮新書 2008 年 2 月)
 原発がどのように日本に導入されることになったのか?
初代科学技術庁長官正力松太郎を軸に米国との癒着の中で日本の原発開発が進められる様子を資料とともに浮かび上がらせる

○石崎克彦編『原発を終わらせる』 (岩波新書 2011 年 7 月)
 地震学者の立場から警鐘を鳴らしてきた編者が「原発を終わらせる」ために、福島第一原発事故の実態、原発の科学技術的問題性、社会的な観点から各界の論者の知見と知恵を結集した一冊

○広瀬隆・明石昇二郎著『原発の闇を暴く』
                 (集英社新書 2011 年 7 月)
 早くから原発の危険性を訴えてきた二人による対談。原発開発の問題性を分かりやすく、且つ熱く語り合う。広瀬隆には多くの読者に衝撃を与えた『東京に原発を!』(JICC 出版局1981 年 3 月刊行改訂版が集英社文庫 1986 年 8 月)他があり、明石昇二郎は『原発崩壊』(株式会社金曜日 2007 年 11 月)がある。

◇◆3・11 以後の単行本から◆◇

○開沼博著『「フクシマ」論原子力村はなぜ生まれたのか』

                   (青土社 2011 年 6 月)
 気鋭の社会学者による二つの原子力ムラ(原発立地のムラと政官財学が癒着する原発推進のための原子力ムラ)の間にどのような権力関係が存在したかを、歴史社会的に解き明かす著者渾身の著

○山本義隆著『福島の原発事故をめぐっていくつか学び考えたこと』
                  みすず書房 2011 年8 月)
 元東大全共闘・全国全共闘議長の著者が、科学史家の立場から〈脱原発社会〉を展望する真摯な考察。小冊子ながら、深い思考に引き込まれる。

○ステファニー・クック著:藤井留美訳『原子力その隠蔽された真実  人の手に負えない各エネルギーの 70 年史』
                 (飛鳥新社 2011 年 11 月)
 “atoms for peace”のまやかしはもはや人びとの「常識」であはずだが、改めて核開発(原子力開発)のいかがわしさを知らしめられる大冊。

○すが秀美著『反原発の思想史冷戦からフクシマへ』
                  (筑摩書房 2012 年 2 月)
 社会運動としての反原発運動。それが戦後史とどう関わり、時々の社会情勢とどう切り結んでいたのかを思想的に検証し、そして今とこれから運動のありようを模索する文芸評論家の労作。

○吉岡斉著『脱原子力国家への道』(岩波書店 2012 年 6 月)
 岩波から刊行されている「叢書震災と社会」の一冊。原発のみならず「核兵器」も視野に入れた「脱原子力国家」への可能性を探る〈現実的〉な処方箋を科学史家から提示。

○広瀬隆『第二のフクシマ日本滅亡』  (朝日出版社 2012 年 2 月)
 列島が地震活動期に入った今、第2のフクシマがいつ起きてもおかしくない。「反原発」の、あの広瀬氏が日本を滅亡させないために緊急提言。六ケ所再処理工場の即時閉鎖、全原発廃炉断行、汚染食品の流通阻止......。渾身の書き下ろし。
 本著作は一冊読み切るには少し努力必要かも...噛み砕いて記述されて居ますが若干の科学的考察ないし洞察力が必要と思われます

◇◆その他の参考図書◆◇

○野村昇平『増補国の理想と憲法「国際環境平和国家」への道』

                (七つの森出版 2009 年 7 月)
 「重要な点は、この提案は、現在の体制や勢力に働きかけ、日本の社会体制や機構を変革することにより、国際環境平和国家を今すぐに実現しようというのではありません。まず、当面の目標とて、『国際環境平和国家を目指そう』という理想を日本に揚げようというのです。

 この考えに賛同する力を 集め、国内にまったく新たな気運を創り出し、最終的に政治の世界 にこの考えの影響が及ぶようにしていくのです。「国際環境平和国 家」の実現そのものはもう少し先の目標となるでしょう。日本が自ら 率先して国家エゴイズムを放棄すること、脱エゴイズム国家へ転換を 図ることが必要なのです」(本書から)。
 エネルギー問題や、原発問題など、私達の置かれている状況につい て、包括的かつ本質的な理解ができます。

○大島堅一著『原発はやっぱり割に合わない』
               (東洋経済新報社 2013 年 1 月)
 原発は怖いけど、「原発を稼働させないと電気料金があがるのは?」「原発を稼働させないと経済が悪化してしまうのでは?」そんな疑問を払しょくする一冊です。

○加藤寛著『日本再生最終勧告-原発即時ゼロで未来を拓く』

                 (ビジネス社 2013 年 3 月)
 上越の著名な財界人お奨めの書。小泉元首相の師である著者が 弟子の小泉純一郎とともに“原発即時ゼロ”に至ったその理由とは?

○広瀬隆著『二酸化炭素温暖化説の崩壊』

                (集英社新書 2010 年 10 月)

 電気は足りていて、原発はコストが高いが、二酸化炭素によ温暖化を防ぐためにはやはり原発は必要か?否、二酸化炭素では温暖化しない!科学的根拠に基づく脱原発の大家による渾身の一冊。

○今井一著『「原発」国民投票』   (集英社新書 2011 年 8 月)
 国民投票について書かれたものだが、後半の「賛否両派の主張」が面白い。ビートたけし、野坂昭如、田原総一郎、孫正義などなど原発推進派を含む 33 名の論が聞ける。